寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない


 順調に体調を整えていたクラリーチェは、わざと病気がちな振りをして寝込み、自室から出る機会を減らした。
 予想通り国王夫妻はクラリーチェにかかりきりになり、彼女の体調がよくなるようにと、公務以外の時間のほとんどを彼女のために費やした。
 それでもクラリーチェが健康になる事はなく、食事もろくにとれない状態……を、彼女は装っていた。
 実際は、計画を達成するためにアメリアに事情を話してこっそりと食事を届けてもらったり、部屋に閉じこもってばかりだと本当に体調を崩すということで、信頼できる侍女に打ち明けていろいろ手助けをしてもらっていた。
 自室も庭に通じている王宮の奥の部屋に移し、タイミングを図ってはこっそりと庭に出て散歩をしたり、花壇の世話をしていた。
 そのせいで、部屋に閉じこもっている割には手足に筋肉がつき、顔色も良かった。
 ある日、クラリーチェがのんびりと庭を散歩していた時、セレナが突然やって来て驚いた。
 腕をつかまれ、花壇づくりで筋肉がついた身体に気づいたセレナが怪訝そうな顔を見せた時にはかなり焦った。
 クラリーチェを心配しているセレナにいよいよ本当の事を話そうかと悩んだが、やはり、言わずにごまかした。
 あと少し、もう少しで願いは叶うのだ。
 その願いとは、もちろんセレナとテオ、そしてクラリーチェとカルロが結婚することだ。
 そのためにはまず、病弱なクラリーチェの結婚相手には、彼女を支えランナケルドを王配という立場でしっかりと守ってくれるであろうカルロがいいと国王に納得させなければならない。
 そして、セレナはテオの正妃としてミノワスターに嫁がせる。
 もちろん、いずれは賢王になるであろうと言われているカルロにランナケルドに婿入りしてもらう事は難しい。
 ミノワスターの今後を考えても、王家や貴族、そして国民の誰もがカルロを次期国王にと願っているのだ、簡単に受け入れてもらえるはずがない。
 だが、ランナケルドから水路を延ばすと提案すれば、了承されるに違いない。
 そう考えた三人は、長い時間をかけて、計画の成功のために力を尽くしてきたのだ。

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