寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
クラリーチェは実際以上に病弱を装い、今後女王としての役割を十分に果たせないだろうという印象を周囲に与えた。
カルロは王太子としてとことん優秀な姿を見せ、ミノワスターだけでなく、ランナケルドの王族たちからも認められ欲しがられる存在になるよう努力した。
そしてテオは、王位に興味のない自由気ままで軽い王子を演じ、ランナケルドの国王や王族たちにクラリーチェを支える力のない名前だけの王子だと印象づけた。
カルロとクラリーチェが結婚すれば、長い時間をかけて進めてきた計画はようやく完了する。
それはもうすぐだ。
クラリーチェはカルロとの結婚が決まった途端、病弱な振りをやめ、元気に結婚準備と公務に精を出している。
国王夫妻はその姿になんの疑問も抱かず、ひたすら喜んでいる。
カルロといえば、ランナケルドの次期王配として公務を学びながら、王族や貴族たちのとの関係を深めつつある。
何度もランナケルドを訪ね、人々と良好な関係を築いていたテオは、あっという間にランナケルドになじんだカルロに複雑な想いを感じているが、彼とクラリーチェ、そしてランナケルドの未来が明るいものであるよう願っている。
「セレナ……。長い間、寂しかっただろう? よく頑張ったな」
無防備な寝顔を見せながら、穏やかな呼吸を繰り返すセレナに、テオはそっと口づけた。
病弱なクラリーチェを心配する国王夫妻の愛情はクラリーチェひとりに注がれ、セレナは寂しい思いをしてきた。
たとえ離宮でアメリアたちにかわいがられていても、セレナの胸に巣食う寂しさが消える事はなかった。
両親に愛されたくてたまらなかったはずだ。
「ごめんな」
長い間セレナが抱えていた痛みを想い、テオは顔を歪めた。