寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない



「手駒と言っていたな」

 シャルル公爵は、ニヤリとした表情を浮かべた。
 向かいに座る執事は表情を変えぬまま、小さく頷いた。

「サウス伯爵がテオ殿下と親しいとは聞いていたが、それを利用しろということか」

 いずれランナケルドに王配として迎えられる時、テオは側妃としてアリスを連れていくと期待していたが、その思惑は大きく狂ってしまった。
 テオはアリスへの謝罪の意味も込め、サウス伯爵との結婚を勧めたのだろう。
 そして、娘婿であるサウス伯爵を通じて王太子との縁を深め、そして利用してもいいのだと、暗に告げられた。
 
 と、彼は解釈している。

「やはりテオ殿下はアリスを愛しておられるのだな」

 たとえ愛していても、ランナケルドとの取り決めの中に側妃は持たず正妃ひとりを愛するという文言があったに違いない。
 だからこそ、渋々、今後一切側妃は持たないと宣言したのだろう。
 軽い物腰と飄々とした態度を崩さないながらも、テオが頑固であることはよくわかっている。
 側妃を持たないと言ったのであれば、その気持ちは変わらないに違いない。
 それゆえ愛しいアリスの幸せを願い、サウス伯爵との結婚を強く勧めたのだろう。

「アリスが不憫だな」

 愛する男が王族であったがために、想いを寄せ合っていながらも別れなければならないとは。

< 201 / 284 >

この作品をシェア

pagetop