寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない


 結婚して以来慌ただしい毎日を過ごしていたテオも、ようやくセレナと一緒に食事が取れるようになった。
 急ごしらえの王太子ともいうべき慌ただしさの中でその立場に就いたテオを支え、自身も不安と戸惑いのさなかにいるはずなのに愚痴ひとつこぼさないセレナ。
 王太子妃教育も順調で何ひとつ問題はないうえに、国王夫妻からも気に入られている。
 テオと一緒にいる時のセレナはとても嬉しそうに笑い、隣に立てば自然にテオに寄り添うようになった。
 セレナとの結婚は、テオが望んでいた以上に彼を幸せにしてくれた。
 テオは、活発に動きまわるセレナも好きだが、城でゆっくりと寛ぎながら刺繍をしたり、ラーラとともに料理を作っている彼女を見ると、ホッとした。
 落馬の不安や剣の練習でのケガを心配することがないおかげで、穏やかな気持ちでいられるのだ。
 セレナを見ても、そんな今の生活に苦痛に感じている様子はない。
 何より、テオが公務を終えて城に帰った時、セレナが笑顔で迎えてくれる。
 テオはそんな毎日に心からの幸せを感じているのだが、果たしてセレナが無理をしているのではないかと不安も感じている。
 本当は騎士たちと共に馬に乗り駆けたいのではないか。
 それに、城下におりて、窮屈な王太子妃としてではないひとりの人間としての時間を楽しみたいのではないかと、心配している。
 テオは、セレナが望めば周囲との折り合いをつけつつその願いを叶えるつもりでいるが、セレナには今の状況に大きな不満も希望もないようだ。
 テオが求めれば恥ずかしがりながらも素直に抱かれ、公務にも積極的に参加し、少しでも早くミノワスターの王族として認められるようにと頑張っている。
 不満や困ったことはないのかと聞けば、「殿下と一緒に食事がしたいです」と恥ずかしそうに口にするかわいいセレナに、テオは動きを止め、何も言えなかった。
 これ以上惚れさせるなよ。
 ベッドの中で聞いたのが悪かった。
 散々セレナの体を貪り、喘がせた後だというのに、セレナがかわいい事を言うものだから、と自分に言い訳をしながら再び彼女の体を抱き寄せ、夜明けの光がカーテンの隙間から差し込んでくるまで抱いた。
 その日以来、テオは公務の量や段取りを調整し、セレナと一緒に食事をとるようになった。
 とことんセレナを愛している、単純なオトコなのだ。

< 205 / 284 >

この作品をシェア

pagetop