寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない


 ソフィアが嫁いだシズール家は、ミノワスター建国当初から王家に仕える貴族で、真面目な働きぶりと学者を多く輩出している家柄は他の貴族からも一目置かれている。
 権力に興味がなく、地道に家を守る事だけに尽力していたが、出席を断れない王家主催の晩餐会に、たまたま顔を出した嫡男のウィルがソフィアに見初められた事からシズール家の運命は大きく変わってしまった。
 植物の研究に励み、学校で教鞭をとっていたウィルは、見た目こそ整っているが女性にも恋愛にも興味がなく、シズール家は妹のルイーズに婿をとって継がせようという話まで出ていたほどだ。
 そんな彼にとって王族との結婚は想定外のことで、断れるものなら断りたかったのだが、王家の力を使い強引に気持ちを伝えるソフィアに陥落し、結婚。
 今ではウィルもソフィアを愛し、ふたりの子供にも恵まれている。
 本来なら他国に降嫁すべきソフィアだが、自分の恋に正直に突き進み、愛する人と結婚した彼女はおとぎ話の主人公のように国民から憧れられている。
 特に若い女性からの人気は高く、ソフィアが身に着ける服や宝飾品はあっという間に売り切れるほどだ。

「俺もソフィアとは仲が良かったが、子供の頃から自分の気持ちを隠すことはないし嫌な事は絶対にしないし。だけど、情に厚くて涙もろくて憎めないんだよな。セレナの事も気にいって、勉強会が終わっても会いたいって言ってたぞ」
「私もソフィアさんが大好きです。勉強会も楽しかったです」

 勉強会といっても、セレナがすでに知っていることを改めて確認する程度のもので、気楽な時間を過ごしていた。
 しっかり者で明るくサバサバしているソフィアと過ごす時間は、楽しく穏やかなものだった。
 ソフィアと再び会えるとなれば、やはり嬉しい。

「だったら決まりだな。早速ソフィアに遣いを出そう」

 明るく笑うセレナに、テオも笑顔を返す。

「ソフィアさんがおいしいと言ってくれたシフォンケーキを焼いてお持ちしますね」
「そういえば、旦那のウィルも甘いものに目がないらしいから、ラーラに手伝ってもらってたくさん用意して持っていこう」

 テオは明るくそう言いながらも、ランナケルドに行く事を躊躇していたセレナが気になっていた。
 
 
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