寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない


「ようこそお越しくださいました。玄関にお迎えに行かず申し訳ありません」

 今も夫婦連れ立ち、庭に通じるバルコニーから入ってきた。

「朝から庭の手入れに夢中になってしまい、馬車の到着に気づきませでした。王宮もキレイでしたが我が家のバラもなかなかのものです。後でご覧になってください」
 
 顔を蒸気させたソフィアが、ウィルと共に軽く頭を下げた。

「せっかくのお休みなのに、我が家のような狭い屋敷にようこそお越しくださいました」

 ソフィアの隣に立つウィルは、人当たりのいい笑顔でテオとセレナを歓迎した。
 テオとは何度か顔を合わせた事があるらしく、挨拶を終えてすぐ、ふたりで話を始めた。
 植物の研究をしている物静かなウィルと、華やかな噂が絶えないテオだが、何故か馬が合い、ソフィア抜きでふたりで会う事もある。
 今もふたりで応接室のソファに腰かけ、ウィルが最近栽培に成功した多肉植物について熱く話している。

「さ、女は女同士、お茶でもしましょうか。あ、お父様とお母様もご一緒にどうですか?」

 ソフィアの問いに、それまでふたりの背後で様子を見守っていたアレックとマギーは首を横に振った。

「せっかくですが、私たちは昼食の支度をしてまいりますね。主人の得意料理を幾つか用意していますのでお待ちくださいませ」

 マギーが誇らしげにそう言った。

「あの、おふたりでお料理を……?」

 驚いたセレナに、アレックは照れたように頷いた。

「いやあ、伯爵家の当主が厨房に入るだなんて信じられないでしょうが、料理ほど楽しいものはないんですよ。マギーとふたりで作ればなおさらおいしいものが作れますしね。王宮の料理人には負けますが、私の腕もなかなかのもんですよ」
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