寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
手元に置かれたお茶からは、懐かしい香りが漂っている。
ひと口飲めば、アメリアの「セレナ様、しっかりなさってくださいよ」というきびきびとした声が聞こえるようだ。
今頃、アメリアは何をしているのだろう。
セレナはホームシックにも似た想いを感じた。
「ランナケルドには帰らないんですか?」
ソフィアの問いに、セレナはピクリと体を揺らした。
「あ……結婚してからまだ慌ただしいので……それにカルロ王子と姉の結婚式に出席するので」
手元のティーカップを見つめ、テオにも言った言葉を繰り返した。
ソフィアは明るい表情を崩さないまま、何度か頷いた。
「クラリーチェ様も、お元気でしたよ。病弱な方だとお聞きしていましたが、顔色も良くて安心しました。結婚式が楽しみですね」
「あ、あの、お姉様にも会われたんですか?」
「ええ。たまたま離宮に来られていて、ご挨拶させていただきました。セレナ様に会いたいとおっしゃってました」
「そうですか……」
ソフィアの明るい声に、セレナは小さく頷いた。