寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
セレナは、テオに抱きしめられ、甘えられることにときめきながらも、クラリーチェと似ているアリスの事が頭から離れない。
どれだけ甘い言葉を囁かれ、優しくされても、テオの心の中にいるクラリーチェの存在を意識せずにはいられないのだ。
わかっていたはずだと自分に言い聞かせても、テオをどんどん好きになるにつれてわがままになる。
自分ひとりを愛して欲しいと、願わずにはいられない。
どう自分をごまかしても、テオが大好きなのだ。
自分を誰よりも愛して欲しい。
王宮から離れ、特別な時間が流れている今なら、テオとの関係を深められるかもしれない。
ソフィアの明るさと柔らかな屋敷の雰囲気に頼って、テオとの距離を縮められるだろうか。
セレナはテオの手の温かさにすがるように気持ちを高めた。
そっと息を吐き出し、そのためにはまずはどうすればいいだろうかと考えていると、慌ただしい足音が響いてきた。
すると、王宮の護衛騎士がひとり部屋に飛びこんできた。
「どうした?」
それまでと打って変わったテオの硬い声が響いた。
騎士は荒い息を落ち着かせながら、膝をつき、口を開いた。
「テオ殿下、至急城にお戻りください。国王陛下の体調がおもわしくなく、さきほどクロリア医師が診察され、殿下をお呼びするようにとの事です」