寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない



「陛下が?」

 セレナは息をのんだ。

「陛下の意識はしっかりしておられるようですが、クロリア医師がとにかく殿下を呼び戻すようにとおっしゃられています」
「……わかった。すぐに戻る」

 テオは迷うことなくそう言うと、セレナの耳元に唇を寄せた。

「すまない。ここに残りたいかもしれないが、一緒に戻ってくれ」
「も、もちろんです」

 セレナの強い言葉に、テオは安心したような表情を見せた。
 そして、ふたりは国王陛下の容体を心配しながら、急いで城へと戻った。

 既にシズール家の屋敷に寄越されていた王家の馬車で城に戻ったふたりは、そのままリナルドの部屋を訪ねた。
 意識があると聞き、多少安心していたが、わざわざ呼び戻すほどだ、容体は悪いのだろう。
 不安を抱えながら部屋に入れば、広い部屋の奥にあるソファに座り体を休めているリナルドの姿が目に入った。
 その隣でロザリーが寄り添っている。

「陛下、大丈夫ですか?」

 リナルドの側に歩み寄り、テオは膝をついた。
 リナルドは、慌てて部屋に入ってきたテオとセレナに驚いたが、次の瞬間、恥ずかしそうに笑った。

「わざわざ戻ってきたんだな。すまない。お前たちに知らせる必要はないと言ったんだが、ヴァルターが知らせたんだろう」

 頭を掻き、申し訳なさそうに苦笑するリナルドに、テオは訳が分からないながらもホッとした。
 ここに来るまで張り詰めていた心がゆっくりと緩んでいく。
 それはセレナも同様で、テオの隣で膝をつき、リナルドとロザリーの様子をうかがった。
 リナルドは顔色も良く、言葉もしっかりとしている。
 ロザリーもリナルドを心配しているが、焦っている様子はない。


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