寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない



「で、どうされたんですか? 体調がおもわしくなく、私たちを呼び戻すよう伝令を出したと聞いてますが」

 首をかしげながら、テオが訪ねる。
 すると、言いづらそうにリナルドが口を開いた。

「呼び戻したのはヴァルターだ。いや、恥ずかしい話なんだが、湯あみの最中、足を滑らせて足を痛めたんだ」
「は? 足を?」
「そうだ。おまけに腰も打ってうずくまってしまってな、駆け付けたヴァルターは私が頭を打って気を失ったと思い、慌ててお前たちを呼び戻せと伝令を……いやあ、恥ずかしながら、水が十分手に入るようになったおかげで湯あみが楽しくてな。公務の合間に楽しんでいたんだが、調子に乗りすぎたようだ……」
 
 ははっと笑いながら話すリナルドの言葉に、テオとセレナは顔を見合わせた。

「水路ができて以来、子供たちが水遊びを楽しんでいるのは聞いてますが、陛下まで」

 テオは呆れた声でそう言って、肩を落とした。
 セレナとふたりの時間をようやく手に入れて楽しんでいたというのに。

「人騒がせですよ、まったく」
「まあ、そう言うな。幸い足と腰以外はどこも痛まないんだが、足首が腫れて使い物にならないんだ。四、五日足を休めれば治るらしいんだが、今日は国内の学校長たちとの会議があってな、それに出てもらえないか? せっかく戻ってきてくれたんだ、ついでだ」
 
 国王の言葉に、テオは顔をしかめた。

「……新婚旅行に行けなかった代わりの休暇中なんですけど?」

 はあっとため息を吐き、不機嫌な気持ちを隠そうともしない声。
 隣にいるセレナは陛下にそんな態度でいいのかとヒヤヒヤしている。

「悪い悪い。ヴァルターが慌てて報せたようだ。だけどまあ、こうして帰って来たんだから、俺の代わりにしばらく国王代理として動いてくれ」
「ごめんなさいね。せっかくのふたりの時間を邪魔してしまって。陛下ったら毎日子供みたいに湯あみを楽しんでるのよ」
 
 ロザリーの呆れた声に、リナルドは恥ずかしげに体を縮めた。

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