寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない



「親バカ……」

 セレナの父親のことをそう言っていた。
 セレナは首を横に振り、まさかそれはないだろうと気持ちを落ち着ける。
 親バカになってもらえるほど愛されていないとわかっている。
 あふれ出す切なさに思わず俯くと、テオがセレナの手をぎゅっと握りしめた。

「さ、親バカで人騒がせな国王陛下は元気なようだから、俺たちはさっさと部屋に戻って着替えようか。学校長たちとの会議には出るから、ヴァルターに資料を用意するように言っておいてくれ」
 
 テオはセレナの手を引き立ち上がった。

「ふたりの時間を邪魔してすまないな。しかし、これから会議や行事に出る機会も増えるだろうから慣れておくのもいいだろう」
「まったく……ようやくふたりで過ごせるはずだったのに」

 相変わらず機嫌が悪いテオに、ロザリーは肩をすくめながらセレナに笑いかけた。

「セレナとの時間を持ちたいのは私たちも一緒よ。明日にでもお茶にいらっしゃい。せっかくかわいい娘ができたんだから、私も楽しみたいのよ」
「あ、ありがとうございます」

 セレナは慌てて頭を下げた。
 穏やかな雰囲気をまとい、いつも優しい言葉をかけてくれるロザリーの存在は心強い。
 口元を緩め嬉しそうなセレナに、テオはホッとする反面、セレナが自分以外の人間と仲良くなっていく事が気に入らない。
 テオの事を第一に考え、セレナの時間すべてはテオのために使って欲しい……が、それはわがままだともわかっている。

< 231 / 284 >

この作品をシェア

pagetop