寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
「さ、戻るぞ。急いで帰って来たから疲れただろ? 俺が会議に出ている間、休んでいていいぞ」
「あ、はい……。し、失礼いたします」
テオに引きずられるように歩きながら、セレナは国王夫妻に頭を下げた。
国王夫妻は呆れながらふたりを見送る。
すると、部屋を出ようとしていたテオがふと立ち止まり、振り返った。
「足が腫れている間は酒は禁止だからな。ランナケルドのワインがうまいのはわかるが飲むなよ。あれはセレナのために用意してくれた大切な物だからな」
テオの鋭い声に、リナルドは気まずそうに視線を逸らした。
「えー、その。あれはうまいよな。さすがランナケルド自慢のワインで希少品だよな……。ということで、昨日かなり飲んでしまってな……」
「ごまかすな。まさか全部飲んでしまったってことか?」
「そんな怖い顔するなよ。あと三本ほど残ってるはずだが、俺ももう少し飲みたい……」
「無理だ。その三本は俺とセレナで楽しむから飲むなよ。ヴァルターに言って早速部屋に持ってきてもらうからな」
「お、おい、せめて一本くらい」
すがるようなリナルドの声に構うことなく、テオはリナルドを睨んだ。
「水路開通の式典の時、ジェラルド国王はワインを三十本持ってきてくれたはずだ。なかなか手に入らない貴重なワインだから味わいたいのはわかるが、セレナのために作られたワインだぞ、ジェラルド国王の気持ちも考えるべきだろ」
テオのキッパリとした言葉に、リナルドは口ごもった。