寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
「あらあら、ふたりともそんなにワインが飲みたかったらカルロの結婚式でランナケルドに行った時にいただけばいいでしょう? とりあえず今残っている三本はセレナのために持っていきなさい。ふふ、ジェラルド国王とサーヤ王妃がセレナをどうぞよろしくって何度も頭を下げながらワインを下さったのよ。セレナとカルロの婚約が決まった時に、仕込んだワインだと言ってね」
「え、私が婚約した時に?」
ロザリーの言葉に、セレナが反応した。
「いい話よね、子供が生まれた時にワインを用意するだなんて。セレナが生まれた時にはクラリーチェ姫の容体が悪くてそれどころじゃなかったらしいけど、ずっと気にしていたらしいわ。だから、ミノワスターに嫁ぐ事が決まった時に、セレナの幸せを願って用意したとおっしゃってたのよ」
「そ、そんなこと……」
セレナはロザリーの言葉が信じられなかった。
絶えずクラリーチェを気にかけセレナのことは離宮のアメリアに任せっぱなしだったというのに、ワインを用意していたなんて、まさかとしか思えない。
テオとつないだ手に力が入る。
傍らで震えているセレナに気づいたテオは、空いていた手でセレナを抱き寄せた。
「部屋に戻るぞ」
テオはセレナの耳に囁き、チラリと国王夫妻に視線を向けた。
ワインの事は、いずれセレナの様子を見ながら話そうと思っていたのに、簡単に話した国王夫妻が気に入らない。
セレナがこれまで寂しい想いをしてきた事を知っていたはずなのに、どこまで無神経なんだ。
テオはむかつく思いをぐっと堪え、セレナとともに部屋を後にした。
セレナは動揺したまま、ロザリーの言葉を頭の中で何度も繰り返していた。