寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない


「わかりやすい言葉でまとめてくれるのならそれで構わないが、この資料も十分わかりやすいぞ。しかし、今回の水路の開通に伴って各学校に設置予定の水車についての記載がないがどういうことだ? そろそろ工事が始まるはずだが」
 
 資料から漏れていた議題を問うテオに、学校長たちは慌て、口頭で答えた。
 それだけでなく、カルロの結婚式当日の騎士団の派遣の詳細をまとめ切れていなかった騎士学校の校長は、テオからの質問に口ごもることもあった。
 結果、公務を放棄する事が多く、王室の異端児と思われていたテオが、政務に通じているとわかった学校長たちは認識を改めた。
 見た目にごまかされるな。
 思ったより骨があり、王太子としての覚悟がある。
 学校長に就くほどの優秀な者たちだ、人の本質を見抜く力はある。
 学校運営についてあらかじめ資料を読み込み、勉強をしていたテオを認めるのは早かった。
 そして、王太子として、そして次期国王としてテオが認められるきっかけにもなった。
 この事は、同じ部屋で議事録をとっていたヴァルターによってセレナにも知らされた。
 見た目の良さの裏に隠していた王位継承者としての覚悟と力を見せ、学校長たちを黙らせた姿は格好良かったと聞き、セレナは安心した。

 やはりテオは王太子としてふさわしいのだ。

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