寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
「話はヴァルターから聞きました。学校長たちを上手にやり込めたそうですね」
「やり込めたわけじゃないぞ。これから協力してやっていこうと伝えたようなものだ。だけど、そうだな、セレナがいたら俺に惚れ直してたぞ」
「え、それは……」
照れるセレナに、テオは満足げに笑った。
会議の後、夕食を終えて部屋に戻ったテオとセレナは、寝室のベッドに並んで腰かけワインを手にしていた。
セレナが婚約した時に仕込んだというそれは、昨夜テオが口移しで飲ませた物と同じだ。
セレナは手にしたグラスをゆっくりと揺らしながら、鮮やかな紫をじっと見つめた。
「このラベルを見てみろ。ランナケルドでセレナを象徴する花であるバラの絵が描かれているだろ」
セレナの隣でテオがワインのボトルを手に取った。
確かにラベルには真っ赤なバラの絵がキレイに描かれている。
そして絵の下の部分にはセレナの名前が添えられていた。
「本当は、慣習に従ってセレナが生まれた時にワインを用意するはずだったそうだ」
ラベルをじっと見つめるセレナを伺いながら、テオは口を開いた。
「だけどセレナが生まれた日の晩に、クラリーチェが高熱を出しただけでなく痙攣まで起こしたらしい」
「……痙攣? それは初めて聞きました。体調がかなり悪かったとは知っていましたけど」
セレナが小さく呟いた。