寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
「嘘じゃないし、からかっているわけでもない。ジェラルド国王は、まぎれもなくセレナの父親だ。本当ならミノワスターに嫁がせるのも嫌だったはず」
「それは違います、お父様はお姉様が女王としての役目を安心して果たせるようミノワスターに私を差し出したんです。私がランナケルドに残りたいと言っても取り合うこともなかったはずです」
思わず激しい口調でそう言ったセレナの手元が揺れ、グラスからワインが零れ落ちた。
「あーあ。せっかくのワインがもったいない」
テオはセレナの手からグラスを取り上げると、そのまま口にワインを含んだ。
そして、セレナに口づけワインを飲ませた。
セレナは驚いたが、テオの唇は気持ちよく、ゴクンと飲み干した。
「セレナのためのワインだ。味わって飲めよ。……それにしても、早速顔が赤くなってきたな」
ほんの少しワインを飲んだだけだというのに、セレナの体は熱くなり、夕べと同様体がふわふわしてきた。
「仕方がないと、わかっているんだよな」
テオの穏やかな声が、セレナの耳に心地よく届いた。
セレナの体は赤ちゃんをあやすように静かに揺らされ、安心感で包まれる。
ほんの少し眠気を感じながらも、夕べほどではなく、セレナはぽつりと口を開いた。
「仕方がないって、何が……ううん、わかってるから、言わなくていい」
「そうか? セレナが知らないこと、俺はたくさん知ってるぞ」
「なあに?」
ふにゃりとしたセレナの口調に、テオは頬を緩める。
酔っているとはいえ、あまりにも可愛すぎる妻を抱く力が強くなる。