寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない


「私……もっと」

 テオのことが知りたい。
 思わずそう口に出しそうになり、セレナは慌てて口をつぐんだ。

「セレナ様?」

 ミケーレが怪訝そうにセレナの顔を覗き込む。

「ううん、なんでもない。あ、大変だろうけど、警備をよろしくね。騎士が守っているとなれば、騒ぎを起こすおバカさんはいないだろうけど」

 にっこり笑ったセレナに、マークは顔を赤らめて敬礼する。

「お、お任せください」
「そんなに力まないでね。休憩の時にはお店を見て回るといいわよ」
「はい、ありがとうございます」

 深く頭を下げるマークに苦笑しながらセレナはその場を後にすると、にぎわう露店を見て回る。
 三日間開かれる市の初日には、多くの人が訪れ、かなりの賑わいをみせる。
 子供から年配の者まで、どの顔も明るい。

「あ、セレナ様、お気をつけて」
「ありがとう、ルルおばあちゃんも、転ばないようにね」

 誰もがセレナに気づき、頭を下げたり気さくに声をかけていく。
 幼少の頃から城下で過ごす機会が多かったセレナを、国民の多くが見守り愛してきた。
 国王夫妻がクラリーチェにかかりきりで、セレナは離宮で働く者たちに育てられたということを知っているのだ。

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