寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
「え?」
セレナは驚き、その手を呆然と見た。
知らない男に手を握られるなんて、信じられない。
「あの?」
驚く声を隠すことなく隣の人を見れば、顔をセレナとは反対側に向けていて誰なのかよくわからない。
身に着けている茶色の乗馬服は見るからに上等で、どこかの貴族のお坊ちゃんのようだ。
つかまれた手を引き抜こうと力を入れても、さらに強くつかまれびくともしない。
「あの、酔ってます? この手、離してください。どこの誰かは知りませんが、あなたの恋人か誰かと勘違いしてません?」
セレナは焦りながら必死で手を引き抜こうと力を入れた。
どんなにひっぱっても男性の手から解放されず、セレナの顔は次第に赤くなっていく。
すると、男性がセレナの気持ちを落ち着かせるようにもう片方の手をセレナの背中に回した。
するすると何度か撫で、そのままセレナの肩を抱き寄せた。
「ちょ、何するのよ」
ぐっと引き寄せられた途端、男性の胸に体を預けたセレナは、体を離そうともがいた。
「離して。……離しなさい。私が誰だかわかっているの?」