寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
クラリーチェは、王太子として忙しいカルロに代わって、テオにセレナを見守って欲しいと思っているのだろう。
納得したセレナは、テオとクラリーチェを交互に見ながら小さく笑った。
「お姉様、心配しすぎよ。私は強いもの、大丈夫」
セレナは力強い声でそう言った。
「私、槍も弓も得意だし、ミノワスターの国王陛下も王妃様もお優しいから、私は大丈夫なの」
セレナはクラリーチェの気遣いに感謝しながらも、その心配は無用だと、笑顔とともに伝えた。
ただ、テオへの恋心をどう昇華させればいいのかがわからず、不安は残る。
けれど、今日のクラリーチェはそのままあっさりと言葉を収めることはなかった。
ベッドの上で身を乗り出し、セレナに向かって強い口調で言葉を続けた。
「セレナがランナケルドのことを考えて騎士たちの訓練に交じって頑張っているのは知っているわ。もしも男だったら、優秀な騎士になっただろうって言われているのも知ってる。だけど、あなたは男じゃない。女なのよ。だから、ミノワスターに行ったら、無理をしないで守ってもらいなさい。困ったことがあったら意地を張らずに頼りなさい」
「お姉様……どうしたの……?」
普段と違うクラリーチェの様子に、セレナは驚く。
力のない、押せば倒れそうな線の細さはどこにも感じられず、芯の強さとセレナへの愛情を隠そうともしていない。
興奮しているせいか、透明感のある白い肌には赤みが差している。
「セレナ姫」
「え?」
クラリーチェから目が離せずにいるセレナに、カルロが声をかけた。
「クラリーチェ姫が言うように、守らせて欲しいし、頼って欲しい。私もテオも、セレナ姫がミノワスターで幸せに暮らせるためならなんだってする」
「あ、ありがとうございます」
セレナはカルロに頭を下げた。
カルロの言葉に優しさと大人の余裕を感じたが、わざわざ『守る』とか『頼れ』とか言わなければならないほど、自分のこれからは大変なのだろうかと不安になった。
すると、そのやり取りを黙って聞いていたテオが口を開いた。