寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
騎士たちがセレナをクラリーチェの部屋に通したがらなかった意味がなんとなくわかった。
クラリーチェとカルロ、そしてテオとの複雑な関係を察し、セレナがクラリーチェの部屋に入らないよう、配慮してくれたのだ。
セレナは自分の部屋に向かいながら、やはり自分はクラリーチェには敵わないと感じていた。
彼女の婚約者であるテオは当然のこと、カルロ王太子までもがクラリーチェに特別な想いを抱いている。
三人がそれぞれの感情にどう折り合いをつけているのかセレナにはわからない。
ただわかるのは、テオもカルロもセレナを愛していないということだ。
大切に想い、かわいがる気持ちに嘘はないだろうが、誰よりも愛しいと思える存在ではない。
これまで何度も感じていた苦しい現実を改めて突き付けられたような気がして、セレナの心には重苦しい何かが広がった。
テオと結婚できれば、他には何も望まないのに。
セレナは長く捨てきれずにいるその想いに、いよいよ区切りをつけなければならないと感じ、涙をこらえた。
そして、部屋を出ていくセレナの後ろ姿を見送ったテオの表情も、セレナに負けないほど苦しげに歪んでいた。