風の旋律
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「……え?」
今まで黙って聞いていた音羽は、今、ビックリしたように目を見開いている。
その目を、僕は真っ直ぐに見つめた。
『友達の価値も、家族の愛も、君に出会ったから気付けた。』
「………。」
音羽は、少し顔をしかめた。
“どういうこと?”
と聞こえてきそうな表情に、僕は真っ直ぐに伝える。
『……………音羽。
君は、ピアノを弾くのが恐くなって、人が信頼できなくなっていた。
それは、僕も同じだった。
君と僕は、すごく似ているようで、まったく違う。』
音羽は臭い台詞は吐かない。
僕は天の邪鬼ではない。
音羽は好奇心旺盛で、ハキハキしている。
僕は好奇心はあるけど、面倒臭がり。
音羽はご両親が大好き。
僕は施設の皆が大好き。
音羽は本当はお茶目で照れ屋。
僕は本当は、独占欲が強くて、愛に飢えていた。
『音羽、僕は君を愛している。』