【続】清華魔法学園〜未来選択編〜
たまにの優しさには弱い。
「じゃあ、俺も行くよ。お大事に、紗久」
怜桜の後を追うように私に優しく微笑みかけ、悠が部屋を出ようとする。
「待って!!」
そんな悠を私は急いで止めた。
「何?」
私に急に止められても、悠は一切表情を変えない。
優しい笑顔を浮かべたまま。
相変わらず、表情が変わらず、読めない奴。
「ありがとう、悠。薬、悠が持ってきてくれたんでしょ?」
改めてお礼を言う。
おそらく解熱剤をわざわざ学先輩から貰ってきてくれたのは悠だから。
「同じことをしただけだよ。紗久、ありがとう」
心からそう言って悠が笑う。
なかなか見えない悠の本心が少しだけ見えた。