伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます
その時、ドアをノックする音がした。
「すみません、ドロシア様。オーガスト様のお姿が見えないのですが、ご存知ありませんか」
「え? あ! ここにいます」
「うわ、ドロシア。言っちゃだめだ」
「えっ」
しかしもう遅い。「入りますよ」と言って扉を開けたチェスターが、ドロシアのベッドに半裸の主人を見つけて目を丸くする。
「オーガスト様。……あ、ああ、そういう……。ええと、おめでとうございます」
「違うんだ、チェスター」
「そうよ、チェスター。見て。私はちゃんと服を着ているから!」
「こら、ドロシア。男に夜着を見せるもんじゃないよ」
「裸のオーガスト様に言われたくないですー!」
ベッドの上で言い合いを始めるふたりを見て、最初は呆気に取られていたチェスターはこらえきれなくなったようにおなかを抱えて笑い出した。
「は、あはははっ、す、すみません。いや、でも、あはははははっ」
大笑いされてしまって、ドロシアも我に返る。たしかにおかしな光景だ。男女が朝同じベッドにいるというのに色気も何もあったものではない。
「はあー苦しい。……すみません。失礼をいたしました。なんだかすっかり仲良くなられたようで良かったです」
「違うぞ、チェスター」
「何が違うんですか。その格好では説得力がありませんよ」
くすくす笑いながらチェスターが続けるので、オーガストは不貞腐れたような顔をして黙り込む。