伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます
「待ってチェスター。確かにオーガスト様が朝ここにいたのはびっくりしたんだけど、本当に何もないの。さすがに何かされて全く記憶がないわけないでしょう。服も昨晩のままよ」
「いやあどうですかね。ドロシア様は眠りが深いようですし」
「うっ」
確かに、ここにきてから特に、一度寝たら体が動かないくらい深い眠りに入ってしまうけれど。
それでも、オーガストが夜這いするとは思えなかった。
「いいえ。ないわ。あなたのご主人は女性に無理矢理手を出す人じゃないでしょう」
顔を赤くしつつ言えば、チェスターはにっこりと微笑む。
「確かにそうですね。むしろなんかあっていただいたほうがこちらは嬉しいんですが。……さて、朝食の準備ができました。お部屋に運べばよろしいですか?」
「ああ。そうだな」
「待ってください、オーガスト様っ」
ドロシアは勢い余って腰にまいていたシーツを掴む。当然、はらりとはだけ、オーガストが慌てて押さえる。
「うわっ、ドロシア」
「きゃー、ごめんなさい。わざとじゃないんです」
「わかったから、あっちを向いて」
ドロシアは顔を真っ赤にして枕に顔を押しつけた。その間に、オーガストはシーツを巻きなおす。
「もういいよ。ドロシア」
「はい。……あの、お願いがあります。オーガスト様」
顔に枕を当てたまま、手を伸ばして彼の腕をつかむ。