王様と私のただならぬ関係
 



 お昼休み。

 一からやり直すのもいいけど、今日も電話だけとか、電話もないとか、そんな感じなのかなーと思いながら、明日香はみんなと社食に向かっていた。

 トレーを手に並んでいると、
「やあやあやあ、お嬢さん方」
と秋成が現れる。

 その後ろに秀人も居た。

「あっ、廣田さんっ」

「廣田さん、お疲れ様ですっ」
と若菜たちは赤くなっていたが。

 明日香には、秋成が前に居ても、秀人を中心にしか世界が見えていないので、彼は王様を先導してくる従者のようにしか見えていなかった。

 葉月さんっ。
 何故、此処にっ!

 緋沙子が居て、明日香の心の声が聞こえていたら、
「……社食だからよ」
と冷静に言っていたことだろう。

 こんなところで出会うなんてっ。

 同じカレーを選ぶなんてっ。

 運命かもしれませんっ!

 恋する乙女は、基本、頭がおかしい。

 だが、そういう意味では、大地もまた、おかしかった。
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