王様と私のただならぬ関係
 明日香の視界にはまったく入ってはいなかったのだが、実は、秀人の何人か後ろに大地も居た。

 明日香のトレーを見、

 明日香っ。
 俺と同じ、カレーを選んでいるなんて、なんて運命的なんだっ!

 やはり、お前が俺の運命の女っ!

 そう思う彼の目には、目の前の秀人のトレーや間に挟まっているオッサンのトレーのカレーは入ってはいなかった。

 そして、若菜たちも、秋成を見つめ、思っていた。

 こんな人数の多い会社なのに、此処で廣田さんに会うなんて、きっと、運命っ!

 遊び人だって聞くけど、彼だって、いつかは、たったひとりの運命の人を選ぶはずっ。

 それが私っ!

 平和な昼下がりの社食には、人々のしょうもない欲望と妄想が渦巻いていた。




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