王様と私のただならぬ関係
　紅茶に口をつける明日香を見たあとで、振り返る。

　なるほど。

　明日香の言う穏やかそうな老夫婦がちょうど立ち上がるところだった。

　妻はゆっくりゆっくり夫のあとをついて行く。

　夫も妻を気遣うように、スローなペースで歩いていた。

　二人とも、今、笑っているわけでもないのだろうが、なんとなく、笑っている風に見える和む顔立ちだ。

　あのくらいの年になると、生き様が顔に出るのだろうな、と秀人は思った。

「オシドリはずっと一緒に居ないかもしれないけど」

　え？　と明日香は顔を上げる。

　ちょうど自分たち二人の横を老夫婦が通っていくところだった。

　今の気持ちをなんて言ったらいいのか、よくわからないなと思いながらも口にした。

「……人間はずっと一緒に居てもいいんだぞ」

「そ、そうですか」

　伝わったのか伝わっていないのかわからないが。

　明日香は少しぎこちない感じだが、笑い返してくれた。





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