170回、好きだと言ったら。
きゃっ!と小さく悲鳴を上げれば、そこにいたのは黒縁メガネをかけた―…。
「やっぱり沖宮さんだったんですね…、人混みに流されてるのを見つけて思わず。
すみません、痛かったですか?」
「小鳥遊さん! あたしも悲鳴を上げてしまってすみません…。
助けて下さってありがとうございます」
ぺこりとお辞儀をすれば、小鳥遊さんは「頭上げていいですから!」と少し焦りながら言う。
前に会った時も思ったけど、小鳥遊さんの服装って上下真っ黒の衣服が多いような…。
あたしがあまりにもまじまじと見てしまったのに気づいたのか、小鳥遊さんが「気になりますか?」と訊ねてきた。
「僕、家で小説ばかり書いてるような人間なので…どうしても身につけるものには興味がないんですよ」
「あ! で、でも似合ってますよ?」