170回、好きだと言ったら。



歩き出そうとした小野瀬さんが立ち止まると明らかに不機嫌そうな表情を見せた。


「沖宮さんって一人で抱えちゃうんだね…。
でも、それは駄目!なことなんだよ?
前にも言ったでしょう? 杜禰リマ先生の言葉を」



……あ、最近全然読んでいなかった。
杜禰リマさんの本を。


鞄に入れっぱなしだったのを思い出すと、小野瀬さんは「憶えてる?」と首を傾げた。


「“大切な存在が何かに怯えていたら、どんな状況に置いても手を差し伸べよう。
例え全てを話せなくても、決して途切れない絆を見つけよう”」

「!!!」

「わたし、何度でも言うよ。
沖宮さんわたしたち、ちゃんと絆が繋がっているもん」


堪らず彼女に抱きつけば、周りの人達も気にしないくらい涙を流した。


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