華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「しかし、閣下がおっしゃっていた、姫様のネックレスは所持しておりませんでした」


思わぬ言葉が飛び出し、私は目をしばたたかせる。

私のネックレスって、山賊に奪われてしまったお母様の形見のことよね? あれがなにか関係するのだろうか。


「それ……どういうこと?」

「ネックレスを所持している人物を探せと、閣下のご指示がありまして」


セアリエからセイディーレに目を向けると、長い足を組む彼は表情を変えずに淡々と説明する。


「ネックレスを奪った山賊が、唯一姫の顔を見ている。そいつを捕らえない限り、安全とは言えない」

「昨夜捕らえた者が首領であることは間違いありません。ですが、ネックレスを奪った人物が個人的に動いている可能性は十分にありますね」


ふたりの会話を聞いて、はっとさせられた。

確かに、私はあのとき顔を見られているのだ。王家の紋章を見れば私が姫だと気づくだろうし、彼らは記憶を頼りに捜しているかもしれない。

そんなことまで見抜いていたセイディーレについ感心してしまっていると、セアリエが難しい顔をして続ける。

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