華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
身体を離したセイディーレは、私の肩を優しく掴んだまま、憂いを帯びた表情で聞きたくはないひとことを放った。


「お別れだ」


心の中でなにかが散り散りになるような感覚がして、目の前の愛しい人の姿が霞んでいく。


「セイ、ディーレ……」

「ここを出れば、セアリエ騎士団長が待っている。国へ帰るんだ」


諭すように告げた彼は、涙を浮かべて呆然とする私に、柔らかな笑みを向ける。


「そして、幸せになれ」


そう言われた瞬間、瞳からポロポロと雫がこぼれ落ちた。

どうして……私たち、想いが通じ合ったばかりなのに。

一緒にいられる時間が少ないことはわかっていた。だけど、あまりにも急すぎる。

ただ涙を溢れさせる私から、目を伏せて踵を返したセイディーレは、こちらを振り返ることなく足早に去っていく。


「嫌だ……セイディーレ!」


わがままな子供みたいにあとを追うも、彼は迷いなくホールを抜け、外に出ていってしまった。

それでも「待って!」と叫び、追いかけようとする私を、ホールにいたエトワルくんが腕を掴んで引き留める。


「ルリさん、ダメです! ……いや、リルーナ姫」

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