華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
やっぱりこの人は城内に住むほどのご身分なのね、と改めて実感しながら力無く頷いた。

私が王族だという以前に、男性とふたりで一晩を共にするなんてこと、許されるはずがないしね。

でも、だとしたら本当に野宿するしか……。えぇ~どうしよう!?

難しい顔をしてうんうん悩む私を黙って見ていた閣下は、しばらくしてこんなことを言い出す。


「薬師を探すと言っていたな」


ふっと顔を上げると、相変わらず無表情の綺麗な顔がある。しかし次の瞬間、私は彼を神様と仰ぎたくなった。


「なら、その場所を教えてやる。あの人の機嫌が良ければ、一泊くらいさせてもらえるかもしれない」


願ってもない言葉に、私は光が差したかのようにぱぁっと顔を明るくする。


「薬師の方をご存じなんですか!?」

「あぁ、干からびそうなジイさんだ」

「えっ」


淡々と口にされたひと言で、私の興奮が一瞬治まった。

薬師の方まで紹介してもらえるのはとってもありがたいけど……、“干からびそうなジイさん”と、私は一晩共にしなければならないってこと?

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