華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
彼の顔や手はシワが多く、おそらく六十歳は過ぎているに違いないけれど、とっても元気そう。

「マジーさんに調合してもらいたい薬があるんだと」と、軽く説明してくれた閣下が、今度はマジーさんという彼を私に紹介してくれる。


「この酒臭いのが、クラマインで唯一の薬師のマジルヴァ」

「今日はまだ飲んどらんわ!」


本名はマジルヴァさんというらしい彼は、しかめっ面をして突っ込んだ。

なんだか賑やかで、面白い人だなぁ。イメージとは違うけど、全然干からびたジイさんなんかじゃないよ。

私はクスッと笑いをこぼし、きちんと挨拶をする。


「マジルヴァさん、はじめまして。私はリルーナと申します」


スカートを両手で摘んで軽く頭を下げると、マジルヴァさんはなぜか徐々に真顔になっていく。


「ん? リルーナ……?」


私の名前を聞いたことがあったのだろうか、なにかを考えるように首をかしげる彼。次に、その瞳は私の横に立つ閣下へと向けられる。

それに気づいた閣下も、ちらりとマジルヴァさんと視線を合わせた。

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