華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
なんだろう。なんの目配せ?と、私もキョトンとしていると、腕を組む閣下が何事もなかったかのように補足する。


「ハーメイデンからお忍びでやってきた姫だ」


一瞬感じた些細な引っかかりは、私の身分を明かされたことで、すぐにどこかへ消えていった。

あっさり暴露されちゃったけど、なんとなくマジルヴァさんなら大丈夫かな?

そんな、私の少しの懸念を見抜いているらしい閣下は、「安心しろ。こう見えてこの人は口が堅いから、誰かにバラしたりはしない」と言ってくれた。

彼が言うのだから、きっと本当に信頼できる人なのだろう。

私も信じよう、と考えていると、マジルヴァさんは納得したように頷く。


「ほぉ……あんたがハーメイデンの姫様だったのか。でも、どうしてまた?」

「私の父が……アドルク国王が、難病に侵されているんです。治すには、アルツ草を使った薬が必要だとお聞きして」


正直に打ち明けると、マジルヴァさんは気の毒そうな顔をする。


「あの厄介な病になっちまったのか。そりゃ大変だ。アルツ草はあるのかい?」

「さっき採ってきました。ここに」


私が手渡した籠の中を確認した彼は、目を丸くして頷きながら、「か弱いおなごひとりで、よくここまでやったなぁ」と、感心したように言った。

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