華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「お前も寝ろ。この人いろんな場所で寝るから、意外とベッドは汚れてないと思うぞ」


そうね、今日はかなり疲れたし、横になりさえすればどこでも寝られそうだけど……というか、彼はどうするのだろう。


「でも、セイディーレは?」

「俺は帰る。明日も早いんだ。帰り道はわかるよな?」


私はその問いかけに答えることもせず、手袋を嵌め、制帽を被る彼を見つめながら考えていた。

明日も忙しいのに、私のためにこんな時間までいてくれたのだ。やっぱり、思いやりの心もちゃんと持っている人じゃない。

悪魔の血を受け継いでいるというのも、きっとなにかの間違いよね。マジーさん酔っていたし、なにかと混同しちゃっていたのかも。

セイディーレと悪魔は、なんの関係もない。

そう自分の中で結論づけ、私は彼にふわりと笑みを向ける。


「あなたは、やっぱり優しい人ね」


セイディーレは怪訝そうな顔で私を見てくる。制帽を被ると威圧感が増すけれど、今は怖くない。


「危ないところを助けてくれたし、ここまで連れてきて、一緒にいてくれた」


穏やかな声で呟くと、彼は少しわずらわしそうにため息を漏らす。

< 50 / 259 >

この作品をシェア

pagetop