天使と悪魔の子
「アリシア様、御無礼をお許しください。」
美しい動作で跪き、さらさらと髪の毛が耳からこぼれ落ちる。
「な、何を…」
「アスタロッサと私は恋人同士です。」
アスタロッサとシーナが……?
というよりまさか、アスタロッサに恋人がいたとは……。
「お前、身体は…」
「私はアリシア様に命を救われたのです。」
「!?」
「ここではなんですから、私の家へお越しください。」
アスタロッサは気に食わないのか私と宙を睨みシーナさんのあとをついていく。
宙は今だ目を赤くして俯いていた。
『……私は宙が半端者なんて思わない。』
「違う、違うんだ。美影が一方的に、あんなこと言われるのが許せない。」
『私は大丈「大丈夫なんて言うな!!」』
大きな声に思わず肩を竦める。
どうしたんだろう、こんな彼見たことない。
「こんなの、理不尽だろ……なんでなにもしてない美影が酷いことを言われなきゃならないんだ。こんなことば、絶対に言わせるな。美影は誰よりも綺麗なんだから。」
『……ばかだなぁ』
小さく言ったから彼には聞こえていないかもしれない。
少しだけ目尻に溜まった涙を見られないように彼に背を向けた。
『ありがとう』
指で軽く雫を掬って振り返る。
『……本当にありがとう』
そう言ってシーナさんの後を追った。