彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「あー!?みーちゃんばっかりズルいんだからぁ~!ん~チュ♪」
「わっ!?不意打ちでほっぺにチューしないでください、モニカちゃん!」
「あら~いらっしゃいのチューはするって言ってるじゃないの~?というかーほっぺが熱かった気がしたんですけどォ~!?」
「そ、それは、外が暑かったので!ねえ、ヤマト!?」
「うはははは!おかわりくださーい!」
「もう食べてるの!?」
「え?なんか言うた?」
〔★しかも話を聞いていない★〕
「漫才はそこまでにして凛、右腕どうよ?」
カオスになりかけた会話を瑞希お兄ちゃんが止める。
「シゲ先生の薬飲んで、一晩寝てみて・・・・どうだ?」
「それが・・・やっぱり、麻痺したままです・・・。」
大変だった。
さらしを脱ぐのはいいが、巻くのに一苦労した。
「わしが巻いたろうか~」というヤマトの親切をお断りして、なんとか着替えたわけだけど・・・
「・・・動かないままです、瑞希お兄ちゃん。」
「つねったり、たたいたりしても、感覚はないか?」
「ないです。」
「わはははは!俺様が試してやろう!!」
「「「「お前だけはやめろ!!」」」」
「そうですね・・・やめてください・・・」
どうなるか想像できるもん。
〔★もっとひどくなりそうだ★〕
「ぶかぶかした服を着てるのも、そのせいか?」
「はい・・・・片手が使えないので、着やすい服を選んだらこうなりまして。」
(それもあるけど、上手にさらしで抑えきれない胸のふくらみを誤魔化す意味もあるのよね~)
〔★負傷してもブレない信念だ★〕
「うはははは!わしはそんな凛の送迎係りやねん!」
「じゃあ、引き続き頼むぜ?いいか、凛。少しでも変わったことが起きれば、シゲ先生にメールしろよ。」
「わ、わかりました。」
「とりあえずほら、食わせてやるから口開け。」
「わ、わかりまし・・・・へ?」
・・・・今なんて?
『くわせてやる』とか言わなかった??
「ほら、早く。シルキロール、ずらせ。」
そう言うなり、お皿に乗ったニンジンをフォークで刺して、差し出してくる瑞希お兄ちゃん。
「なっ!!?」
「凛、あーん、しろ。」
「ええ!?」
あーんしろって!!?
(これは噂に聞く食べさせあいっこというやつですか!!?)
〔★どちらかと言えば、食べさせてもらう側だ★〕