彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)





幸せな時間というものは、あっという間に過ぎるものだった。





「ホンマ、ここでええんか?」



単車にまたがったヤマトが、こちらへと振り返りながら聞いてくる。



「うん、十分だよ。ありがとう。」



それにいつも通りの態度で接しながら、ヤマトのバイクの後ろから降りる。




「じゃあ、また後で。」

「うははは!ほなな~」





キュォオ――――――オオン!






前回泊まった旅館の前でヤマトと別れる。

念押しをしたので、瑞希お兄ちゃんには言わないと思うけど、モニカちゃんが涼子ちゃんにやらせたみたいに、メモに書いて伝えるのもダメだとも言った。





「いらっしゃいませ、凛道様。」

「女将さん、ご無理言ってすみません。」





ヤマトと別れ、獅子島さんの紹介で泊まった高級旅館・咲耶に向かえば、前回同様、丁寧に女将さんが出迎えてくれた。





「あの・・・くれぐれも、獅子島さんには僕が来たことは内緒で・・・」

「お客様のプライバシーは申し上げませんわ、凛道様。」





こちらにも念を押せば、くすくす笑われた。





「凛道様が捕まえたのぞき魔は、各旅館・ホテルでも問題になっていたんです。それを捕まえて下さったんですから、無礼は出来ませんわ。」

「いや、それも、瑞希お兄ちゃんが~」

「はい。表向きは真田様が倒したということですが、体格差・身長差のある相手相手を一撃で仕留め、謙虚にも自分の手柄にしなかったところが女将の会でも評判になっております。」

「女将の会があるのもびっくりですが、しゃべらないでくださーい!」



〔★こうして噂は広まって行く★〕



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