彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「僕、のどは乾いてないんです。」
「大丈夫です。乾杯用に持って頂くだけで結構でございます。」
「乾杯用ですか?」
「はい、終わって不要のようでしたら、おさげいたしますので、どうぞ。」
「じゃあ・・・・・・・・頂きます。」
もっともな言い分。
まぁ、いざとなれば、飛び道具として、敵に投げつければいいか・・・
上手くやれば、数人は目つぶしできる・・・
そう計算した結果、受け取ることにした。
「イチゴとバナナと青リンゴとブドウとオレンジジュースがございますが?」
「じゃあ、オレンジジュースで。」
「かしこまりました。」
ニッコリ笑うとお姉さんは、ドリンクを手渡してくれた。
「もうすぐ、主催者の挨拶が始まりますので、お待ちくださいね?」
「はい、ありがとうございます。」
スリップの入った衣装で、生足をちらつかせながら去って行くセクシーなチャイナお姉さん。
(すごい衣装~夏場だからいいけど、冬は寒そう・・・・・)
受け取ったグラスはシャンパン用の物だった。
瑞希お兄ちゃんのお店にも、同じものが置いてあった。
(瑞希お兄ちゃんか・・・)
今頃何をしてるだろう。
右手が使えない私のため、あーん♪して食べさせてくれたこと百数回♪
(利き手が使えないと思った彼からの、優しさの贈り物だったけど~・・・・・)
「ん?待てよ・・・」
そこまで考えて違和感を覚える。
(なにか・・・・おかしい・・・・。)
今のチャイナドレスのお姉さんが気になる。
(なんだろう・・・あのお姉さん、なにかがおかしかった・・・)
その部分がわからず、目だけでお姉さんを見る。
今度は、全身ブランドだらけのおじさんに飲み物を渡している。
いかにもお酒を飲みそうな人が、ジュースでいいのかな?
(いやいや、問題はそこじゃない!)
『おかしい』場所を必死で探す。
次にチャイナ服のお姉さんは、上品そうな奥様に声をかけた。
奥様は、手にしていたお皿とフォーク・・・フォークを皿に置いてから、ドリンクを受け取っていた。
それでチャイナ服のお姉さんも、ドリンクを渡しかけるが―――――
「あ。」
動きを変えて渡し直した。
「・・・・・・・そういうことか・・・・・・・。」
小さくつぶやく。
何がおかしかったのか。
今のでわかった。
なにが不審だったか。