彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)





(ごめんなさい、瑞希お兄ちゃん・・・・)






苦しめない、先に死なないと約束したのに。





(約束・・・・破りたくない。)






破りたくなかった。






(告白もしてないのに・・・・・・・)





重くなるまぶた。

周囲の光景がスローモーションで見える。







ドガッ!!



火だるまの天井が弾き飛ぶ。





(爆発したの・・・・・?)





他人事のように思っていたら、





――――――――――スタン!!




「あ・・・?」


(・・・・・・・・・・・人?)






誰かが、上から降りてくる。

同時に、上から新鮮な空気が流れ込んできた。

それで薄れた意識が、少しだけ戻る。

声が出た。




「あ、なた・・・ゴホゴホ!」





コツコツと足音を鳴らしながらやって来たのは、ヘルメットをした人物。

フルフェイスタイプだった。






「・・・。」





無言で近づくと、驚く私を軽々と抱き上げる。





「だ・・・・れ・・・?」





私を助けにこんな火の海まで来てくれる人。

そんな人は――――――――――






―凛!―






思い当たるのは1人だけ。





「お兄ちゃん・・・・?」

「・・・。」




聞いてみるが、返事は返ってこない。

その問いに相手は答えることなく、素早い動きで私のシルキロールを首まで下げる。

そして、冷たいハンカチを口に押し付けてきた。





「ああ・・・・」





(気持ち良い・・・呼吸が楽になる・・・)





同時に、心地よさも感じる。

懐かしい・・・・愛しい人の腕の感触。

甘いぬくもり。







(瑞希お兄ちゃんだ・・・・!)






お兄ちゃんのにおいがする。


やわらかくて、優しくて、焦げ臭いけど・・・彼のにおいだ。






それに安堵した瞬間、私の意識は途切れた。




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