彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「大したことではない。忍者を釣ってみれば、『忍者以外のもの』が釣れたと言ったところだ。」
「あ?『忍者以外のもの』だぁ?」
「なに、5分もあれば、忍者の『おまけ』の正体もわかる。バカ騒ぎを続けてろ。」
そう言って口だけで笑うと、指をパソコンのキーボードに戻したのだが・・・・
ピヨピヨピ―♪
その音で伊織だけでなく俺も、その場の全員の動きが止まる。
発信元は俺の携帯。
流れるメロディは、ある人物限定で指定された音。
「凛?」
「凛ちゃぁ~ん!」
「凛たん。」
「凛助ぇ~!」
「凛道か・・・」
微妙だった部屋の空気がなごむ。
「なんだよ凛たん~もう寂しくなったのかぁ~?」
「凛ちゃんたら、うさぎちゃんみたいね!そんなにモニカお姉ちゃんとおしゃべりしたかったなんて~♪」
「だったらお前にかけるだろう、モニカ?凛道は、瑞希の声が聞きたいから瑞希に聞けたんだろが?・・・・チッ!」
「わはははは!後で俺様にも変われよ、瑞希ぃー!!凛助としゃべらせろ!」
「うるせーぞ、オメーら!」
全員の視線を受けながらも、ちょっと優越感に浸りながら携帯のボタンを押す。
「もしもし、凛か?」
〈真田瑞希だな!?〉
帰ってきた返事は、いつもの可愛い凛の声じゃない。
瑞希お兄ちゃ~ん!じゃなかった。
それとはほど遠い、不愉快な声。
忘れるはずのない声。
「お前・・・・軒猿か!?」
探している本人からの電話。
それも凛の携帯からだ。
「あん?」
「軒猿ですって!?」
「おいおい・・・」
「わはははは!凛助じゃねぇのかぁ・・・!?」
俺の言葉で、仲間達の表情が一変する。
龍星軍モードへとチェンジした。
殺気立つ仲間にあてられつつも、電話の相手へ冷静に切り返した。
「テメー凛に何した!?」
今までの凛の行動を抜きにしても、ただ事じゃないと察する。
みけんにしわを寄せて問いただす。