彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
単車を飛ばして十数分。
赤信号を無視したり、近道をしたりして、最短コースで急いできた。
ブロロロロロン!
エンジンは止めず、単車にまたがったままでその場に泊まる。
「凛!?」
どこだ、凛!?
警戒しつつも、周囲を見渡す。
弟のような凛を探す。
「真田瑞希さん!!」
そんな俺を呼ぶ声。
「危ない!!」
その声は、凛じゃない。
(軒猿か!?)
姿は見えなかったのはさすが忍者というべきか。
軒猿の毛に続くように響く別の罵声。
「死ね―――――――――」
そう言って、視線の先の黒い何か動く。
パンパンパン!
「くっ!?」
(チャカかよ!)
体には当たらなかったが、実弾で撃たれた。
弾丸が放たれた方を見れば、黒服スーツの男が数人、俺にめがけて撃ってきた。
威嚇か本気かわかんねぇーけど、最終的には殺る気だろう。
ブロロロロロン!
止まらず、バイクで前進する。
「止まれ!」
パーン!
キン!
それで俺の車体に傷がつく。
おかげで『スイッチ』が入った。
「オラ!!」
ブロロロロロン!
バイクの車輪を持ち上げる。
「ウィリー!?」
大当たり。
「――――――うっらぁあ!」
ドーン!!
振り上げた前輪を、俺の単車を傷つけた奴にブチ当てる。
「うわー!?」
「がは!?」
それでぶっ飛ばされて、そいつの背後にいた奴ごと壁に叩きつけられる。
「こ、このガキ!」
それでもう1人が、俺に銃を向ける。
大人な俺は、これにきちんと対応した。
ブロン!!
方向転換して加速して突っ込む。
ブロロロロロン!
「うわあああああああああ!?」
そのままぶつかる。
キキー!!ピタ!
「へ!?」
ぶつかると・・・思わせた直前で緊急停止。
後輪を上げての制止。
「ジャックナイフ!?」
また軒猿の声が響く。