彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「木の塊でも、ぶつかったら痛いでしょう?鉄の重りじゃ気軽にあてられませんからね。思いっきりあてると死ぬかもしれないんで♪」
「そういう気づかいは褒めてやる。凛はどこだ!?」
「その事ですが・・・場所をお伝えしても、助けに行けませんよ。」
「なんだと!?」
「入れないんです。」
「入れない!?」
「ほら。」
そう言って指さす先を見る
廃墟ビルのはずが、なぜか入口にシャッターが下りている。
ドアも窓もすべての出入り口にだ。
「前に来た時は、あんなもんはなかったぞ!?」
(しかも、どれも真新しい・・・)
「凛道蓮さんへの助けを呼ぶために外へ出た直前、あのようになったんです。」
「なんだと!?じゃあ凛は、まだあの中か!?」
「申し訳ございません。出入口を作ろうと、クナイはもちろん、火薬を使って爆破して入ろうとしましたが、無理でした。それらに耐えられるだけの素材を使っていると思われます。」
「マジかよ・・・!?」
ヴォーンヴォ―ン!!
バルバルババババ!
フォンフォン!
グオォオオオオン!
「「「「瑞希―!!」」」」
「烈司、モニカ、伊織、皇助!?」
近づいてくる聞きなれたエンジン音。
頼もしいツレ達だった。
「瑞希!やっと追いついたぜ!」
「怒ると、単車のスピードもレベルアップしちゃうんだからぁ~」
「おい、一緒にいるのはー」
「わははははは!人間サンドバック~!!」
「違う違う!軒猿ですっ!」
「つーか、やめろ、皇助!」
ひっ!と叫んで、俺の背後に隠れたガキを、舌なめずりして迫るツレからかばう。
「どういことよ、みーちゃん!?そいつは、凛ちゃんを襲った敵でしょう!?」
「あるいは、状況が変わったということか?」
「さすが、獅子島伊織さん!状況判断が早い天才♪」
「当たり前だ。いいから俺のジェットスキーを返せ。換金してたらこの場で埋める。」
「あははは、無事ですし、売り飛ばしてませんのでお手柔らかに・・・」
「なんだよ!?ケンカできねぇのかぁー!!?」
「それどころじゃねぇんだよ!凛が!」
「凛たんがどうした、瑞希?」
「凛が・・・」
のどまで出かかった言葉は―――――――。
ドゥルルルル!!
爆音に邪魔される。
「瑞希せんぱーい!!」
「大河!?」
大河を先頭に現役の龍星軍メンバーがやってきた。
「瑞希先輩!」
「なんで来た!?」
俺の代わりに、メンチをきりながら烈司が怒鳴った。