彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
騒ぐこちらをよそに、ザーとノイズの流れる画面が、その声に合わせて変わる。
〈久しぶりね、真田瑞希先輩?〉
髪をアップした女が映る。
「やっぱり、お前だったか・・・・」
〈そうよ。〉
「九條アキナ・・・・・・!」
龍星軍に代目総長・息吹陽翔の彼女で、将来を誓い合っていた女。
〈聞きましたよ。龍星軍、復活したそうですね?しかも、大事な頭を中学生に継がせるなんて・・・〉
「あいつは高校生だ。」
〈子供じゃない。今の彼とだったら、中学時代の陽翔の方が格上よ。〉
「のろけ話か?」
〈事実を教えてあげてるのよ、ブラコンさん。〉
「凛はどこだ。捕まえたんだろう?」
〈今、会わせてあげる〉
その声で画面が切り替わる。
〈ほ~ら、大好きな瑞希お兄ちゃんよ!!〉
「凛っ!?」
〈瑞希お兄ちゃん!?〉
一瞬、目を疑う。
なぜなら、燃え盛る火の中に可愛い弟がいたから。
「凛!?どうしてそんなところに!?」
四方を壁に囲まれた個室に、凛は閉じ込められていた。
〈瑞希お兄ちゃんっ!〉
「なんで、火の中にいるんだよ!?」
それだけじゃない。
スクリーンに映る凛は、両腕から血を流し、左足も赤く染まっている。
「怪我してるのか、凛!?」
〈すみません・・・・!不覚を取りまして・・・〉
「馬鹿!怒ってんじゃねぇよ!?大丈夫か!?」
〈はい・・・・!〉
(嘘だ!!)
平気だと笑顔でうなずくが、俺にはわかる。
凛が無理をしている時の顔ぐらい、俺は見抜ける。
(俺が心配すると思って、誤魔化しやがって。)
無論、心配してるのは俺だけじゃない。
「凛たん!!」
「凛ちゃん!!」
「凛道っ!」
「凛助ぇぇぇ―――――――――!!」
初代龍星軍メンバーと・・・
「凛!」
「リンリン!」
「凛さん!」
「りんどー!」
「凛君!」
「凛道お前―――――!?」
「なにしてんねん、凛!?」
現役メンバーも凛道蓮を心配していた。
円城寺でさえ、歯ぎしりして画面に見入っている。
そんな俺達に、どこか不思議そうに凛が聞き返す。
〈ど、どうして、みんなが・・・!?〉
〈優しいわね・・・・みんな、あなたを心配してきてくれたのよ。〉
凛の問いに、声だけの九條アキナが答える。
その言い方に、さすがの俺もカチンときた。