彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)





「アキナ!凛をどうする気だ!?」

〈『ご覧の通りです』・・・が、4代目の口癖よね?〉




こいつの狙いはわかってる。

だから言った。





「やめろ!やるなら、俺をやれ!」

〈あら、言い方が違うでしょう?『やめてください』でしょう?〉

「やめてください!!」





アキナの声が聞こえるスピーカーへ・・・・画面上の機械に向かって叫ぶ。

凛が助かるなら、俺は何だってしてやる!

そう思ってのことだったんだが―――――――――





〈そういうところが気にくわないんだよ!!〉





アキナの声の調子が変わる。

ヒステリーを起こした時の女の声になる。



(なにキレてやがるんだ、こいつ??)



理由はすぐにわかる。



〈なにその態度!?あんた、プライドがないの!?〉



そういうことか。

アキナは、俺のプライドを傷つけたかったらしい。



(だから、素直に謝るのはよくなかったのか・・・・)



屈辱を与えたかったらしいが、それどころじゃない。




「何がプライドだ!」




アキナの言葉に、自然と即答していた。





「凛の命の方が大事だ!」

〈なによそれ!?〉




これにアキナも同じように返す。





〈陽翔の時は助けなかったくせに!!〉





痛いところをつかれる。





それでも、今の優先順位は、火の中にいる凛が先だ。





「アキナ!こんなことはやめてくれ!どの過ぎる火遊びだ!」





あの時は、話し合うことがこいつを傷つけることだと思ってさけていた。





〈いやよ!私はもう子供じゃない!!〉





いいや、相手にされなかったと言ってもいい。





〈あんたは凛道蓮が、可愛い弟が焼け死ぬのを見ればいいのよ!〉


「アキナっ!!」


―あんたが代わりに死ねばよかったのよ、真田瑞希!!―





俺達が近づけば近づくほど、愛しい男を失ったアキナが傷つくと思っていたんだが―――





〈可哀想な凛道蓮・・・・!!お兄ちゃんの悪行のせいで、死ぬ運命なんだから・・・!〉


(運命・・・・!!)


―陽翔はこんなところで死ぬ運命じゃなかったのよぉぉぉ!!―



「っ~~~!」







かける言葉が見つからず、会話が止まる。

そしてそれは、一瞬の沈黙の後で起こった。



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