BAD & BAD【Ⅰ】
さてと。
自分自身を褒めちぎったところで、私も変装しますか。
男装に変装を重ねるって、変な感じ。
「息苦しい……」
「我慢しろ」
「これじゃあ、フル装備じゃねぇか」
「あんたは髪型で特定しやすいんだから、それくらいしないと」
黒のサングラスに、黒のマスク。
剛だけは髪型を隠すために、黒のキャップ帽を目深にかぶらせた。
路地裏にあった、どっかの不良の落し物である鉄パイプを手にして、準備完了。
「世界1の悪党になりきるよ、剛!」
「お前はすぐになれるかもしんねぇけど、俺はなれるかどうか」
「ここで善人ぶるな!あんたの方がよっぽどなりきれるから心配すんな!!」
「エールありがと」
「皮肉も通じないのか!」
本気なのかボケなのかわからない、調子の狂う雰囲気の中、作戦決行時間になった。