騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「もうすぐ女官たちが参ります故、腰が怠いなどという弱音は胸の内にお仕舞いください。今日は長い戦いになるのですから」
「う……っ、わ、わかっているわ」
アンナの言葉に、ビアンカは思わず胸を抑えて項垂れた。
今日はこれからセントリューズの王宮で、盛大な晩餐会が開かれる。
招待されているのは近隣諸国の名の知れた王族ばかり。
セントリューズに嫁いできてから一番と言っていいほど大きな催しに、ビアンカは心なしか緊張していた。
「精一杯、粗相のないように努めるから……」
ぽつりと零した言葉に、アンナが大きく頷いた。
晩餐会で粗相でもして、やはり小国……ノーザンブルの王女はこれだから困るとでも思われたら国の名誉に関わる。
何より、ビアンカは自分が失敗をしたことでルーカスの顔に泥を塗るのだけは絶対に避けたいと考えていた。
「アンナはただ、晩餐会が無事に終わることを願っておりますよ」
窓の外は生憎の曇り空。
しばらくもしない内に賑わいを見せるであろう王宮を想像したビアンカは、肩を落としてから小さく、溜め息を吐いた。
* * *
「く、苦しい……」
きつく締められたコルセット。コレでもかというほど輝きを放つ、煌びやかな宝石たち。
ビアンカは婚儀の日を思い出し、辟易しながら眉根を寄せた。
「ビアンカ様、大変お似合いですよ!」
笑顔でそう言いながら、うっとりと頬を染めるのはドレスを持ってきた女官だ。
彼女は両手を合わせて、感嘆の息まで零している。