騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「あ、ありがとう……」
精一杯の笑顔で応えてみたが、上手く笑えている自信はない。
ビアンカのために用意されたのは、淡いエメラルドグリーンの可愛らしいドレスだった。
ヒラヒラと揺れるレースやシフォンが美しく、細やかに施された金糸の刺繍が華々しさも演出してくれている。
緩くウェーブの掛かったブロンドの髪は後ろで結われ、どの髪留めを使おうかと女官が未だに決め兼ねているところだ。
「でも……なんだか、不安しかないわ……」
鏡の前に立ちながら、今日何度目かもわからない溜め息を吐くと心には憂鬱の塊が落ちてきた。
これから何時間も、重いドレスとコルセットに締め付けられながら過ごさなければいけないなんて拷問でしかない。
何より、嫁ぎ先の異国の地で下手な失敗は許されないという状況が、余計にビアンカの心を重くした。
「大丈夫ですよ。こんなに可愛らしい妃が隣にいたら、ルーカス様もさぞかし鼻が高いと思います」
「えっ」
「まるで、春の女神のようです。皆様、ビアンカ王女に会えるのを楽しみにしていらっしゃいますよ」
思いもよらないフォローをしてくれた女官の言葉に、ビアンカの頬が赤く染まった。
ルーカスは鼻が高い……そう言って貰えるのはお世辞でも、嬉しい。
つい返事に困って固まっていると、後ろに控えていたアンナがフッと意味深な息を吐いた。