騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「王弟殿下にも、黙っていればわかりませんよ。だからこれは、私たちだけの甘い秘め事ということで……」
いやいやいや……!
薔薇の咲き誇る庭園を抜け、奥まった場所にある大きな木の下で足を止めたダラム国王は、ビアンカを見てニタリと笑った。
その笑顔を見ただけでゾッとして、肌が粟立つ。
再び身体を引き寄せられた時にはキツいコロンの香りが鼻を掠めて、吐き気まで催した。
この国王は、一体何を考えているのか。嫌がる女性を、それもセントリューズの王弟妃を相手に何をしようというのだろう。
「お、お離しください、国王様!」
「おお……初な反応も随分と可愛らしい。王弟殿下が羨ましいですな。このように美しく可愛らしい姫君を、毎夜、腕に抱けるのですから」
こ、この……!!
なんとか身体を押し返そうとするものの、太い木の幹に身体を押し付けられて逃げようにも逃げられない。
「怖がらなくとも大丈夫です。どうぞ全てを私に委ねて。姫君はただ、目を閉じていれば良いのです」
「や、やめてください……っ」
「密事は甘いものです。さぁ私と一緒に、今を存分に楽しみましょ──」
「──今すぐその手をお離しください、ダラム国王殿」
その時。辺り一帯の空気が、ビリビリと震えた。
突然のことに固まれば、庭園の奥へ繋がる入口に立っていた衛士の一人が顔を青く染めながら転がるように駆けてきた。