騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「て、テメェ……っ」
「あなたの思い通りになんて、なるもんですか!!」
興奮で息を切らしたビアンカは、離された手のお陰でようやく痛みから開放された。
その代わりに、額が痺れるように痛いけれど。それでもたった今、頭突きをかまされた男の方が、ビアンカよりも痛みに苦しんでいるからいい気味だ。
「テメェ、それでも女かよ……!」
「お生憎様。生まれた時から女をやらせていただいてます」
「チクショウ、なんであの男は、テメェみたいな品のない女を妃に……」
その言葉に、フンッと鼻を鳴らしたビアンカは、真っ直ぐに男を睨みつけた。
ルーカスが何故、自分を妃に選んだのかは自分でもわからないが、とんでもなく愛されているからこの男に何を言われようとも別にいい。
「だが……調子に乗れるのも、ここまでだ」
「キャアっ!?」
けれど、男の言う通り。
ビアンカが虚勢を張れたのもそれまでだった。
今度は髪ではなく喉元を掴まれ呆気無く、冷たい床の上へと押し倒される。
勢い良く舞い上がった土埃。後頭部を床に叩きつけられた衝撃で、目がチカチカと眩んだ。
(い、痛いし、苦しい……)
「こうなったら、テメェの亡骸をあの男にくれてやる」
「……っ、ぐ」
「愛する女が殺されているのを見て、あの男がどんな表情をするか見者だな。それこそ、あの男への最高の復讐となるだろう」
(復讐?)
男に聞き返したいが、声が出ない。